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2006年 06月 08日
すあま(3)
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「州浜」がスアマと読まれていた例は、日本側の文献の中にも見ることができます。

天正十八年(1590)に出版された『天正本節用集』は、他の諸種の節用集と同じく、語彙をまずイロハ順に分類し、さらそれぞれの内部に意義分類を施した国語辞書です。

そのス部・天地門の中に次の例があります。
州浜 スアマ
この「天地門」には、天然現象や地名・地理などに関する語彙が収められていますが、「州浜」がこの部門に分類されているのは、この語の意味が前回示した①《湾曲した浜辺》に当たるものだからです。もしこれが菓子名ならば、他の「食物門」の中に収められたはずです。

したがってこの例は、「州浜」が菓子名になる以前の、浜辺の地形の意を表していた段階で、すでにスアマと発音されていたことを示すものと解することができます。(この項続く)

*撮影機材:R-D1+NOKTON classic40mm(SC) f1.4

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-06-08 18:26 | 言語・文化雑考


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