2006年 06月 16日
最後に「すはま」におけるハ行転呼に関する問題を取り上げます。 「すはま(3)」のコメント欄に、juniori 君から次の疑問が提出されていました。 【例えば「朝日」の場合、「日」は語中のハ行音ですが、二字漢語で 「朝」と「日」で分かれるという意識があったためハ行転呼は起こ らなかったと思うのですが、似たような語「州浜」がハ行転呼を起 こしたというのは、全体どのような事情があってのことでしょう?】 junior君が、「アサヒ」が「朝」と「日」の二字の漢字(「朝日」は和語。「二字漢語」ではありません)表記に分かれるという意識があったためにハ行転呼が起こらなかったとしているのは、”表記”よりも"語源意識"の問題として捉えるべきものです。ただし、その場合でも、たとえば、同じ「ハラ《原》」なのに、「藤原」では転呼してフジワラとなるのに対して「清原」はキヨハラとハ行のままなのはなぜかという問題があるなど、簡単にはいかないところがあります。 ところで、神社などの屋根の葺(ふ)き方に「ヒワダブキ(檜皮葺)」というのがあります。このヒワダは「ヒ」と「ハダ」が複合した「ヒハダ」の後項が、ハ行転呼によって「ワダ」に変化したものです。この語は「アサヒ」ほどには語源意識が強くなかったためにハ行転呼が起きたものと考えられます。 スハマがスワマからスアマに転じたことについても、同じように考えることができると思います。 ところでまた、上記のヒワダブキは、一方にヒハダブキの語形もあります。これは非ハ行転呼形を用いていることになりますが、いったんヒワダに変化したものが原形のヒハダに戻るというのは、音変化の面から見て不自然なことです。これについてはどう考えればよいでしょうか。(この項続く) *撮影機材:R-D1+SUMMICRON50mm(沈洞式) f2.0
by YOSHIO_HAYASHI
| 2006-06-16 06:35
| 言語・文化雑考
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