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2006年 12月 01日
大阪洒落言葉#2 -へびあし(続々)- 【追記アリ】
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  ※前のページに三回目の問題がおまっせ。見落とさんといてぇな。



2)夏のイワシで、[ハラ]がわるい。

「ハラがわるい」は、イワシの《腹が腐っている》の意に、《意地が悪い》( →このように解釈してヨイですか? >関西の衆 )の意を掛けたもの。
【追記】
上記に関して、kokichi50さんとsuze69さんから、現代の大阪方言に関するご教示を頂きました(これについてはコメント欄をご覧下さい)。それによれば、この解釈には問題が残りますが、現段階では改訂を加えずにこのまま表示しておくことにします。(2006.12.02)

共通日本語では「腹黒い」を用いますが、この関西方言は古語「腹悪(あ)し」の血筋を受け継ぐものです。

蕪村の句に次の例があります。

 (ア) 腹あしき僧こぼしゆく施米(せまい)哉    (明和五年<1768>)
 (イ) 腹あしき隣同士の蚊遣(かやり)哉(かな)   ( 同 八年<1771>)
 (ウ) 腹あしき僧も餅くへ城南神         (年代未詳)


ただしこれらの「腹あし」の語義は、現代関西方言のそれとはいささか異なり、(ア)(ウ)は《怒りっぽい》、(イ)は《仲が悪い》の意に用いられています。

蕪村には、古典の世界を踏まえた句が少なからずありますが、上記の(ア)(ウ)の句もその系列に連なるもの。これは『徒然草』四十五段に出る次の「腹あし」の使用例を典拠にしたものと思われます。

 公世《きんよ。藤原氏》の二位のせうと《兄弟》に、良学僧正と聞こえしは、
 きはめて腹あしき人なりけり。


ここに見える「腹あし」は、《意地が悪い》ではなく《怒りっぽい》の意を表すもの。これがこの形容詞の本来の用法です。

ちなみに「腹が大きい」「腹をくくる」など「腹」を頭に持つ連語・慣用句の延べ数は、類義表現を含めると、なんと100を優に越えます。

「はら」は、日本文化を理解するための重要なキーワードと言ってよいでしょう。

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(旦那芸)

  餌民糖の賞味期限の早さに、開いた口もふさがらぬまま詠める
                                     荒間宗海
  使ひ捨てらるるはおムツのみならず
     赤ン坊(チルドレン)まで捨てる世の中

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              ↑ 頭は苦ゃーから食わにゃーのだ。 
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     ↑ このにゃんこは、黒江・黒美さんたちとはまた別のクロです。
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*撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)

by YOSHIO_HAYASHI | 2006-12-01 07:36 | 言語クイズ


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