2006年 12月 17日
洒落言葉も4回目出題分の残りはあと一鉢・・・。 5)冬の蛙で、[かんがえ]る。 「冬」を「寒」に置き換えただけの、至極単純な洒落ですが、伏せ字仕立てにすると意外にも難問と化し、正解は【晶】はんお一人という結果でした。 してやったりと、胴元の賭場守は内心ほくほく顔(^_^)v カンガエル《寒の蛙》というのは、プレハブ飯場式仮設造語ですが、清音の「カンカエル」ならば茶碗と存在します。俳句で《寒の戻り》をいう初春の季語に「寒返る」があります。 星詩*なきあとの郡(こほり)や寒返る 飯田蛇笏 ただし実際には、「冴(さ)え返る」「寒戻る」、あるいは類題の「余寒」が好まれ、「寒返る」の使用例はほとんど見つかりません。上掲句はその希少作例。蛇笏自選句集「春蘭」(1947)に収める作品です。 *(注) 実はまだ原典に当たってないのですが、初五「星詩なき」の「星詩」がよく分かりません。 セイジと読んで人名と見れば、その方の追悼句ということになるし、ホシ・シと読めば 《星(ニ)詩(ノ)無き》の意にも取れます。 ただし後者の解だと、ぎくしゃくした言葉遣いという印象を否めないし、運辞にも無理が 生じるので、前者の解がよいと思うのですが、決め手がありません。 この件について、どなたかご存じでしたらご教示下さい。 もし人名ならば、原典には必ず「○○星詩を悼む」のような前書きがあるはず。 確かなことが分かったら後日追記します。 ところで、この「寒返る」の名詞形は「寒返り」。 江戸後期の漢学者、太田全齋(1759-1829)の編んだ方言・俗語辞典『俚言集覧(りげんしゅうらん)』には次のようにあります。 寒かへり 春暖かになりて、又寒くなるを云(ふ) [犬子集] 世上寒帰りければ 春も又かじけて見えぬこのめ《木の芽》かな 重頼 全齋が典拠とした俳諧集『犬子集(えのこしゅう)』に収める重頼句は「帰る」を清音に読む例なので、この辞書でも「寒かへり」と清音の形で見出しを立てたのでしょう。しかしこの語、一般にはカンガエリの濁音形を用います。『日国』でもこの語を「かん-がえり【寒帰・寒返】」の形で見出しに立てています。 そうするとこの「寒返」は、動詞の時にはカンカエル、名詞ならばカンガエリという具合に、第3音節に清濁の相違が生じることになります。 そこで問題。この違いはなぜ生まれるのでしょうか、どなたか簡潔に説明してくださいませんか(ト、いつに変わらぬ教師根性^^;) *撮影機材:R-D1+NOCTILUX-M50mm f1.0(2nd generation)
by YOSHIO_HAYASHI
| 2006-12-17 05:55
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